初夏の木漏れ日
私は自分の作品をアート作品とは言えないかも。
と、かれこれ絵を描く仕事を30年以上やってきましたが、今そう想います。
1枚のボードを眼に前に置いてじっと睨みながら私がするのは記憶を辿る事です。
その記憶は生まれてからこれまでの記憶もそうですが
そこを突破した後で見えて来るのは「全ての記憶」と呼べるものです。
地球が形作られて137億年だそうですがそういう時間の積み重ねでは無い
この一点にその137億年がぎゅ~っと凝縮している記憶です。
みんなが忘れている、でも一番大切なもの。
その記憶を蘇らせる『記憶再生装置』として私はこれらの絵を描いているのだと言えます。
まず最初に私自身がこの絵と対峙しながら記憶を思い出すのです。
その記憶とは?私たちを存在させている水や空気や太陽や風の記憶。
この身体を構成している様々な細胞が以前何かの生き物だったり
川の石だったり海の波だったりした記憶。
その細胞を存在させている分子や光子や素粒子の記憶。
それらが持つ記憶をひとつひとつ取り出すのが私の絵の流儀です。
このボードを入り口の窓にして私は大宇宙へ漕ぎ出すのです。
実感を持って、やっとそう思えるようになりました。
これらの10枚の絵を入り口の窓にして、どうぞ乗り込んで潜入してみて下さい。
私たちそれぞれは似ているけど全く違う人間ですが
この窓から入った先にはあなたと私を隔てるものは無いのです。
生命の源である生命力。
そのよわくつよいざわめきに身を浸して下さい。
新緑の初夏。
生命が伸びやかにするこの時期に。
2017年初夏
マシマタケシ
邂逅
邂逅
眼を閉じてご覧なさい
耳を塞いで心臓の音を
聞きながらご覧なさい
どうぞお入りなさい
izanau
黒々と茂る小径を抜け
虫の声も届かない小さな祠の
冷たくひっそりとしたそこに
私の記憶が佇んでいる
精霊ノ山
どの国からも遠く
どの海よりも遠い
そこに辿り着ける旅人は
永遠を観るだろう
*販売済み
龍の玉
その星の海の底の底に
誰も知らない岩の陰に
その星の生命を生み出す玉がある
百億年
*販売済み
十一と二十三
この世界は影です
誰かがそう言った
洞窟に映る灯の影
いまそこをあなたが横ぎった
*販売済み
toppuri
満ち満ちて満ちて
増して増して増す
目の前の空間には
137億年が折り畳まれている
その一つ一つが我であり
片時も居ない事は無い
ただとっぷりと満ちて
光の正面
まだ何も生み出す前の光
姿も形も音も無い光
影を伴わない光
何も無い光の正面へ