
版画家宣言
2023の年明けに、突如運命の出逢いというものに見舞われました。
以前からパートナーの高畑藍がやっていた藍染の抜染を手伝っていたところ、その工程や作業に魅せられ、すぐに自分で抜染用の型紙を切り、アイディアが山の様に降って湧いたのです。
実は今年で40年になる画業の始まりは、青山にあった「アニマルトリック」というTシャツやトレーナーやバッグにキャラクターを施した店舗のデザイナーであり、その際に浅草橋や上野の問屋やプリント工場を駆け回って商品を作っていたあのワクワクした気持ちが、大きく一巡りして蘇ったのです。
作業を習得して行く中で、これはファッションを作っているというよりも「版画」だと思って来ました。
長年培った絵を描く発想を活かせる、型紙を考え切り、一つの作品に対峙する様な「絵を描く」行為に重なって来たのです。
普通は紙に施す版画を、布や服に落とし込む「版画衣服」に変換した思いでした。
また、通常の版画と大きく違うのは「抜染」は対象にインクを盛って絵を転写するのではなく、型紙を合わせて抜染糊を塗り込み、その部分が脱色すると言う、足し算ではなく引き算の美という点が惹きつけられた要因でした。
藍染も抜染もまるで陶芸の様に、同じ様にやっても仕上がりが違います。
その様な偶然性を持ち合わせた仕事にどんどんのめり込んで行きます。
一枚一枚違う仕上がりの、着るほどに経年変化して行く、着る人と一緒に生きて行く服。
これからしばらくこの版画を中心に展示会を繰り広げて行こうと思った2023年の始まりでした。
atelier 23 というのは20年前から名乗っている意匠です。
ここに展示会ごとにいろんなモノづくりしている人が参加して行き、今までと違う切り口の紹介をして行きたいと思います。
2023年の展示会の予定は、6月に国分寺のカフェスローで、10月に岐阜のギャラリーUniveresで、12月にまたカフェスローで開催予定です。
その他小さな展示会を各地で企画して行きたいと思います。
atelier 23 のトレードマークは一粒の赤サンゴのビーズです。
小さな赤は藍の色を引き立てるんです。
※写真のように実験的に抜染を施したものは展示会でご紹介しますし、定番的な商品は下記ウェブサイトで受注生産しております。
よろしければ覗いてください。