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しゃべりすぎない

今朝は急に思い立ち、尾之間温泉入り口より奥に入る「蛇の口滝」までいってみた。
事前情報で「ひる」が多いという不吉なプレッシャーは進む内に忘れてしまうほど
山道の美しさ。
ところどころで立ち止まり、しばらくじっとしたり目を閉じたり、まったく誰にも会わなかったので
私は自分が人間なのか動物なのか何者なのか分からなくなってしまった。
「見る」という、視覚をこんなに意識した事は最近無かった。
目を開けて見るという「見る」と、感じるという「観る」の違いが、山の奥に入れば入るほど強く感じられた。
景色を見ている私の目を閉じれば、森を観ている私の奥の私が居る。
そういう2つの視座を楽しみながら小一時間ほど、ようやく誰かの気配がしてきたので
大きな岩のステージをその人に明け渡し、私は温泉への道へ向かう。
以前から確信があるが、山の奥深くに入る時はなるべく「ひとり」が良い。
一人でなくては感じられないささやきの声が多いからだ。
そして不思議な事はひとりじゃないと起きないと決まっている。
その話を誰かにしても信じてもらえないような体験をしたかったら、絶対一人で行くのが良い。

来る時は私の背後だった景色を前面に見ながらもと来た道を戻る。
登りとはまったく違って見えるその道。
登りに感じた心細く不安な時間の流れが、ひっくり返って安心とゆったりした充実の時間に変わっている。
登る時は自分の内側に入っていくようなもので、下る時は時分の外側をなぞるように歩く。
うしろの正面だあれ?
その人が誰か知りたいのだったら、おしゃべりをしすぎないこと。
そうすればそっと覗かせてくれるはず。
by prema-maaru | 2009-04-30 14:55 | Comments(0)