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屋久島のカミ

初めて縄文杉まで行ってきました。
観光で屋久島に来るのであれば、真っ先に向かうのが縄文杉であろうが、住人となる私は「会いに行こう」と心の底からの強い思いが湧かなければ、一度も行かなくても構わないと思っていた。
今回「行こう」と思ったのは、7月22日の皆既日蝕を記念したものを何か作ろうという話が起こり、ならば「オレに手描きのTシャツを描かせて欲しい」と願い出て、それが通った経緯による。
その総数108枚。
一枚一枚まったく別のアプローチで108枚描くとなると、これはただ事では無く、描き終わった時に確実に何か、自分の限界を超えているだろうと予想され、その前に屋久島の象徴であり中心に座す「縄文杉さま」に挨拶に伺いたいと思ったからだ。
普通よりも早く出発したせいか、行きはほとんど人に会わず、途中でアオゲラの勇姿を間近に見せていただけるという栄誉に預り、まだ朝の気配が残る時間に縄文杉にたどり着く。
その姿は大きく白く輝き、優しく厳しく美しく、屋久島の象徴に相応しい「アミダ如来」を彷彿とさせている。
いっちゃんと二人だけで拝し、ニ礼ニ拍手で参拝し、これからの仕事の決心を伝えて来た。
その願いが聞き届けられたのは言うまでも無く、家に着いたら「Tシャツが届いたから後で持って行くね〜」というメッセージが入っていた。
夕方にヘンプコットンのTシャツを取り寄せてくれたはっしーとコウタカが飛び魚の沖干しを持って来てくれた。
三岳を飲みながら宴会になる。
コウタカは純屋久島産の25歳の青年で、私は初めてコウタカに会った時から、彼の存在感に釘付けになっていた。
野生というか縄文人というか、生きて行く能力に関しては申し分無いと言ったムードを外見に漂わせていて、そして確かにそういう能力が身に付いていると本人も言う。
屋久島で生まれた男は、ひとり海で流されて見知らぬ浜に打ち上げられてから、それからどうやって生きて行くのか?という問いを自分自身にしながら成長して行く様なメンタリティを持っている。
専門職とは行かなくても、自分で住む場所を作り、魚を獲り、田畑を耕し、山や里で何が食べられるのか、何が薬になるのか、何が道具になるのかを知っていて、そして何が美しいのかを知っている。
それ以上のものがこの地球で行きていくのに必要なのか?と思える程。
若干25歳の青年が、生きて行く全てを持っているという衝撃は、今までの私の人間観を大きく変えてしまったのだった。
屋久島はそういう所で、そこで生まれるというのは宇宙で一番の優遇待遇を得たという証であり、後に移り住むという二次的待遇でも、そこに住む年数だけ生きる能力が自然に身に付くという場所なのであります。
その島に何千年も生きている樹があるらしい・・・・という噂を聞きつけて世界中から人が集まる。
その姿をひと目観たいと山道を延々と歩く。
その存在感はまさにカミであり、そこに至るまでに無数のカミガミに出会い、「いったいここはどうなっているんだ?」とひとりひとりの心に揺らぎを与える島。屋久島は
そこで生きる人もまたカミであり、だからこそ全てがカミなんだと素直に言える島。
ここに居たら神秘は消え失せ、ただ自然の姿があるだけ。
生きていて良かった。
それを一日に何度も思う。
屋久島は。
by prema-maaru | 2009-05-12 07:43