壮観

ヨミの星展会場の「宇フォーラム美術館」に展示完了した絵を眺めてマシマは深いため息をついた。
自らの展示会でこれほどの枚数を並べた事は無かったのでもう人の手元に移った絵も借り受けなければならなかった。
それでも足りないと思っていたがどうにか様になった壁面を見てほっと安堵のため息をついた後に別のため息がもれた。
それは思ってもみない事だし今まで経験をした事がない脱力であった。
「私は居なくて良い」
個展会場には無理をしても居る事にしていた。
それは絵と作者は同じだと思っていたからだった。
ところが今回はその定説が覆った思いも掛けず。
ここほど「精霊」の存在を現実的に感じる会場は初めてだった。
館長夫人も「ひさしぶりに電気が鳴った」と教えてくれた。
過去に良くあったラップ現象が久しぶりに再来したのだった。
その場所にマシマは毎日出勤したが遂に居場所は見つけられなかった。
ヨミの星というユニットというかプロジェクトがいつの間にか大道を歩いていたのが見えたからだ。
ここには何故だか分からないが沢山の人が集まって来た。
様々な才能がヨミの星に触れてマジに本気になって行く様子を観ていた。
この美術館にしてももうヨミの星に飲み込まれている。
もうマシマも空豆もジャスミンも関係の無い場所でヨミの星が輝き出す。
古代から連綿と繋がる隠れた精霊が蘇ったヨミ孵ったように遠くまで声を響かせている。
皆ここに触れたいと思う皆その異形をかいま見る。
シシガミさまがお出ましになりました。
全て死に全て生まれ黄泉帰り。
ただこの「死」は身体の消滅では無い「私」の放出だ。
私が私たちに成る産声だ。


