八重山空間

多分その場合は地球が月と同じ様に身近な天体だと思えるだろうが、地球時間の1ヶ月の半分が夜で夜空に地球が輝き、半分が昼という感覚に馴染むのに随分時が必要だろう。
同じ様な環境認識の差異をボクは八重山に来てから感じている。
石垣島は沖縄本島並みとは言えないが宮古島と同じくらいの街で、更に石垣島は竹富町の島々とフェリーで結ばれるハブ島でもある。
多くの観光客と多くの地元民と多くの諸島からの買い物客が行き交う。
石垣島にはドンキもあるしニトリもあるし、24時間開いているスーパーもある。
他の島々には基本的に小さい商店があるだけで、その島の住民や観光客も石垣島の豊富な物資に頼っている。
その石垣島だが都会的なインフラを備えている反面、古代的とも言える祭祀や文化や芸能が今なお大切に残っており、祭りの日程も大体の時期こそ定まっているが、各村々の祭の日程はツカサと呼ばれる女性司祭が神との対話によって決まる。
結構ギリギリまで発表されない事が殆どで、それ目当てで八重山を訪れる人達は長期の旅行日程の確保を余儀なくされる。
祭りは全ての日常行事に優先されて、職場や学校を休んでも咎められない。
ここは当然日本国だが、気候も風土も習慣も本土とは違った面があり過ぎて、言葉の違いも大きいがその言語が構築する精神性まで現代の日本社会とは大きな違いを感じる。
ただやはり日本語が話せて行政は日本政府の方針に沿って運営されているので、外から入った私たちの様な移住者も、その変化をさほど感じずに生活出来ることは出来る。
この島に徐々に馴染んで来たボクは、冒頭に書いた月の比喩を当てはめる。
もうボクには沖縄だと思って来た沖縄が見えないのだ。
そこは新しい天地で、今まで60年以上過ごして来た認識がひっくり返る感覚を覚える。
しかし月の地表に立てばそこの時空が目の前にある様に、八重山の空間はボクの過去の記憶と習慣を少しずつ塗り替えて行っているのだ。
マシマタケシ
by prema-maaru
| 2025-03-21 09:21
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